2014年6月4日水曜日

薬物療法

WHO・国際高血圧学会の高血圧症治療ガイドラインによれば、最高血圧が一四〇~一六〇かつ、または最低血圧が九〇~一〇五で合併症がない場合は、生活習慣の調整を三ヶ月から半年ぐらいつづけて経過をみます。そのうえでなお血圧が一定レベル以上ある人については、血圧降下(降圧)薬を使うことになります。最高血圧が一六〇以上、最低血圧が九五以上か薬を開始すべきレベルです。ただし、この数値はほかに危険因子がなく、血圧だけ高い場合です。糖尿病や高脂血症をもつ人、家族に高血圧症や心臓、血管系の病気の人が多いなどの危険因子がある場合には、それよりすこし低いレベル、最高血圧か一四○以上、最低血圧が九〇以ヒであれば降圧薬の適応となります。

いま使われている降圧薬の種類は、利尿薬、交感神経抑制薬、血管拡張薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、a遮新薬の七グループに大きく分けられます。それぞれのグループに属する薬剤もたくさんあります。そのうちのどれを最初に使うかは、医師のそれまでの経験によって選択がなされているのが現状です。

現在の降圧薬は六〇~八〇%の患者さんにはきちんと血圧を下げる作用を発揮しますが、残りの人たちには降圧効果かないか、あっても不十分なことがあります。普通二週問から一ヵ月降圧薬を服用し、一つの薬で効果が不十分な場合は、量を増やしたり、べつの薬に変えたり、作用のちがうほかの薬を併用したりします。

高血圧症の患者さんの約半分は、一つの薬だけで血圧のコントロールが可能です。三剤併用すれば八〇%以上、併用の仕方によってはほぽ一〇〇%の患者さんの血圧をコントロールできるのが普通です。最近は血圧の下がりすぎに注意する必要があるくらい、降圧薬が非常に進歩しました。

現在最も多くの患者さんに使われている降圧薬はカルシウム拮抗薬です。カルシウム拮抗薬(ニフェジピン、商品名アダラート)はドイツのバイエル社で開発され、はしめは心臓の薬として使われていました。