2015年11月5日木曜日

アンクル・サムの円建て国債

エネルギー・防衛・資源の三点から常時弱点を抱えているのは日本であり、それはまた天下周知の事実でもあるので、せいぜい国際通貨として利用されるのは現在の四~六パーセント程度からせいぜい一割限度と思われる。とすれば抜本的な解決策にはとうていならない。では、日本人がドル建てで米国債を東京やニューヨークで買うようなことにしないで、米国自体が日本で円建て債を大量に発行してはどうか。一回で巨額の発行は市場に悪影響があるから小出しにしたって、アンクル・サムの円建て国債ならNTT株式以上に日本人の人気は集まるのではないか。

手取り円貨をドルに換えるために円売りドル買いが起き、ドル高になっても一八〇円ほどまでなら日本企業も米国企業も傷つかないのではないか。東芝カセットを下院前庭で叩き壊すのよりは、また次々と一五〇円から一四〇円、一三〇円、二一〇円と無限に円高にして日本企業の海外流出と日本人の怨みを買うよりは、はるかに妥当な施策ではないか。しかし、米国国内事情から、円建て米国債の日本での発行は困難視されているし、これは決定的に米国が日本に頭を下げることになり無理でもあり、米国人は為替差損益が理解困難である。

無限に日本人が米国債や株式を買い、円建て貸付けを米国企業にしてゆくか、米企業が日本国内でサムライ債発行を続けてゆくか、またはユーロ円の起債をしてゆくことになるのか。しかし、いつかは必ず、どんな方式をとったところで、いずれは限界点に達するであろう。日本投資家がもうドル建て証券は買わぬといえば、現在の均衡はたちどころに崩壊し、米国金利は上昇し、ドルの暴落も起こりうるし、インフレは再燃する。しかし、米国自体も無限に債務を増加してゆくわけにはいかない。