2015年5月9日土曜日

保険税や給付内容の問題点

国保の加入者(被保険者)と組合健保や政管健保の被保険者をくらべると掛げ金(保険税)もちがえば給付内容もちがうという矛盾がある。保険税は政管健保が標準報酬月額の1000分の八二、組合健保は同八二・五ぐらいである。これにたいして国保は、算定基礎がちがうことと、市町村ごとに率がちがうので一概には比較できないが、同一収入額で比較すると、国保のほうが約二倍になっている。

給付内容の差はもっと大きい。組合や政管健保は、外来診察時には一割の自己負担だが、国保は三割も自己負担がある。国保加入者は明らかに不利である。また、国保は傷病手当金も出産手当金も出していない。組合健保の傷病手当金は月額の一〇分の六、一年半まで給付。出産手当金は日額の一〇分の六を産前四一一日間、産後五六日間支給している。

傷病手当金や出産手当金はともかく、保険税や給付内容の問題点を解決するためには、各種の保険を一元化して給付と負担の公平化が図られなければならない。一九八四年の健保法改正のさい、衆議院で付則として保険の一元化に向けて必要な措置を取るよう可決されている。

この方向は正しいし、早急に実現しなければならない。しかし、それをするためには、国保の財政基盤を強固にする必要がある。国保は三八三〇万人が加入している(国民全体の三〇・八パーセント)。その保険者は三二五四の市町村で、市町村間には当然のことながら財政力に格差がある。加入者の平均年齢は四六・三歳(組合健保は三一・六歳)で老人加入割合はニハ・九パーセント(組合健保は二・九パーセント)にも達している。

国保加入者の収入も少ない。無職の世帯が三五・四パーセントもあり、平均所得は年間二八九万四〇〇〇円(うち無職者一五六万九〇〇〇円である)。保険というのは、もともと社会連帯責任のうえに成立するものだが、国保の場合、保険料を払う水準に達していない人が加入者の四分の一ぐらいいる(年収約ニハ○万円以下の世帯)。国は国保にたいして医療費の二分の一、保険税軽減分の二分の一を負担し、さらに市町村の一般会計から四千数百億円が補填されているが、それでも、なお三百数十市町村の国保会計は赤字である。