2015年10月5日月曜日

強制加入者

改正前の日本の年金制度は各制度が独立し、相互の関連がなかったが、基礎年金は各制度に共通する部分として設けられた。国民が受ける年金のうち、基礎的な部分を、基礎年金によって統一したものである。基礎年金には、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の三種類があり、それぞれの状況に応じて支給される。障害基礎年金と老齢基礎年金というように二つの年金の受給権ができたときは、本人の選択によりその一つが支給される。

基礎年金ときくと、まったく新しい制度と思うかもしれないが、その仕組みなどは従来の国民年金をひきつぐので、単純にいえば国民年金イコール基礎年金と考えて差支えない。原則として二〇歳から五九歳までの国民がすべて強制加入―つまり、加入しなければならないが、保険料の納め方等によって、加入者は第1号、第2号、第3号にわけられる。第2号から説明すると、これは厚生年金、共済年金などの被用者年金の加入者である。第3号は第2号、つまり被用者年金加入者に扶養されている配偶者、言いかえればサラリーマンの妻である。籍を同じくしていない、つまり事実婚の配偶者でも、生計をともにし、扶養されていれば第3号と認められる。

第1号は右の第2号、第3号以外の人々である。日本国内に住む自営業者、厚生年金が適用されていない事業所に働く人、二〇歳以上の学生などである。ただし従業員が五人未満で法人化されていない事業所には、厚生年金が適用されていない。第3号のサラリーマンの妻は年収一一〇万円未満なら保険料を納める必要はないが、これ以上の所得があると第1号となり、保険料を負担する。勤めに出て厚生年金加入者となると、第2号にかわる。

国民年金の加入は五九歳までであるが、希望すれば六〇歳以後六四歳まで加入できる。国民年金の加入期間が足りない人や、年金をより多く受けたい人は、この制度を利用できる。自営業者(第1号)、サラリーマンの妻(第3号)は、ともに六四歳まで任意加入できるが、この場合サラリーマンの妻は六〇歳からは第1号となり、保険料を払わなければならない。厚生年金、共済年金の老齢年金を受けている人も、六四歳まで任意加入できる。海外に住む日本国籍をもつ人は、二〇~六四歳まで任意加入できる。

厚生年金には、現役のサラリーマンは六四歳まで加入できるが、以後は加入できない。国民年金もこれにあわせて、六四歳まで任意加入できる制度とした。〔サラリーマンの妻の届出〕半年前に結婚し、夫はサラリーマンで厚生年金に加入しています。年金に関し、妻は市役所に届出をしなければいけないとききましたが、どのようにするのですか。夫が厚生年金(共済年金)の加入者で、その扶養をうけている妻、つまり専業主婦は、国民年金の強制加入者となります。そこで、夫が厚生年金等の加入者であり、その扶養をうけていることを、市区役所町村役場の国民年金係に届け出る必要があり、これが国民年金加入の手続きともなります。